
やすらぎの美空間を探して 1、松戸市「戸定邸」
「住まいは家族の帰る場所。やがて思い出になる場所。」
私たち住宅をご案内するものにとって、「住まい」をどのようなものと捉えるかは、人それぞれ異なると思います。
(株)アルカンシェルホームの考える「住まい」は、家族が帰る場所であり、その先には将来家族皆にとって、思い出となる場所であることを大切にしたいと思っています。
そんな「住まい」をご提供するものとして、人がやすらぐ美しい空間とは何か?を、これからも探求し続けたいと思っています。
また、このHPを訪れて頂いた方々にも、少しでもやすらぎを感じて頂けるよう、コラムとして残していきたいと思います。
今回は、千葉県松戸市にある「戸定邸」を訪れました。
そこにあった静かに佇む奥ゆかしい建築の一端をご紹介します。
■国指定重要文化財 「戸定邸」とは
戸定邸は、江戸幕府最後の将軍徳川慶喜の弟である昭武の居所として、1884年(明治17年)4月に建築されました。
常磐線松戸駅より徒歩12分の高台の上にあり、現在は国指定重要文化財となっています。また戸定邸庭園は、洋風技法を用いた芝生面となっており、国内現存最古のものとされています。


■大名屋敷の系譜上にありながら、静かな余生を暮らすに適した簡素な邸宅
戸定邸は、明治維新後権力の座を離れた徳川昭武が、30歳以降その生涯を閉じるまで、余生を送った邸宅です。
大名屋敷としての規模を著しく縮小しつつ、訪れる来客をもてなすための心づくしと気品が建築に表れています。
■邸宅の中心 表座敷
戸定邸で最も格が高く中心となっているのが表座敷です。64枚にも及ぶ畳空間は広大で、その先に広がる庭園の景観を余すことなく見晴るかすことができます。
まるで庭園風景をパノラマ写真のように切り取ったような景観に加え、大きく外部に開かれた開口部から流れ込む、やわらかなそよ風を肌に感じることができます。


■ 半野外空間としての縁側・廊下
かつての日本の邸宅には、「縁」「縁側」と呼ばれる空間がありました。
通路としての機能を持ちながら、それを建物の外周に設けることで、「内」と「外」をゆるやかにつなぐ空間です。
室内に居ながら「外」を感じ、同時に「外」の雨や日差しを避けることができる、言わば「自然」と「人」をつなぐ緩衝空間です。
室内に居ながら肌で自然を身近に感じることができる、どこか懐かしい憧憬を呼び起こす空間です。
上記の写真で、「縁」に近い畳の割り付けが平行になっているのが見えます。ここは、戸定邸の主人である徳川昭武に謁見する者が着座する間として使われました。より身分の高いものは、畳の割り付けが整った室内に着座することを許されました。
■簡素で静けさに包まれた奥座敷
奥座敷は、昭武のご寝所兼妻八重の部屋として使われました。
天井板の風合いが、簡素で落ち着きのある室内空間を作り出しています。
それに対して、「縁」を介した開口部は広く開け放たれ、閉塞感を感じさせません。
柔らかな光と風を感じられる寝室です。


■絵画のように風景を切り取る「丸窓」
奥座敷で特に目を引くのが、特徴的な丸窓です。
当時はガラス窓はありませんので、障子をあけていれば外部に空間が直接つながります。
外部の景観がそのまま円に切り取られ、目に映る室内空間の風景となります。
丸窓を介して床にそそぐ陽だまりもまた、円形に切り取られ、室内を柔らかく照らしていました。
■子供部屋に設けられた室内窓
昭武の子供たちの部屋として使われた中座敷には、室内廊下に向けた窓があります。
戸定邸でも室内窓はここにしか見受けられず、特徴的な窓です。
子供たちの様子を目に留められるよう、配慮があったのでしょうか。家族同士の思いやりと温かさを感じる風景です。


■大胆な窓のある湯殿
写真で見えている小さな浴槽は昭和のもので、昭武が生存した頃はなかったそうです。当時は掛け湯で入浴したと思われるとのこと。
大胆で大きな窓があり、不思議に思いますが、窓の外は閉じた中庭となっています。
天井は赤身1枚物の杉板が使用されています。
■敷地内の公園 戸定が丘歴史公園
かつて戸定邸の敷地は7万㎡(2万1000坪)を超えていたと言われます。現在はその1/3が戸定が丘歴史公園となっています。
新緑と空だけで構成される景観は、散策する人々を穏やかな気持ちにさせてくれます。


■歩みを進めるごとに移り変わる景観
公園部分は、散策しながら様々に変化する景観を楽しむことができます。
ところどころに配置されたベンチで、ゆっくり新緑を楽しむことができました。
この写真の風景では、足元の苔の群生と、その先に広がる芝とがゆるやかに連続して生息しており、様々な命が共にある風景が印象的でした。
■東屋から望む高台の風景
公園内には3つの東屋が設置されており、休憩される方や本を読む方など、思い思いの時間をすごされていました。
この東屋からは、松戸の風景を一望でき、かつては富士山も望むことができたそうです。
ゆるやかに流れていく時間を楽しむことができました。

■終わりに
戸定邸の主徳川昭武は、13歳の折に将軍家に迎えられ、次期将軍候補の身分を与えられていましたが、彼が将軍職に就くことはありませんでした。
大名屋敷の風合いを保ちながらも、その規模を極めて縮小されて作られた戸定邸は、来訪者をもてなす空間構成をもちながらも、まるで家族が身を寄せ合って暮らしていたような慎ましさも感じられました。
どこか懐かしい、遠い昔の住まいの風景がそこにありました。

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